
作家自ら足を運び、その場に立って見た風景が、シルクスクリーン技法により描き出されています。
現場で見て感じた光景に忠実でありながらも、版を重ねるという技法的な制約から、描き出される場面の情報は取捨選択を繰り返し、整理されていきます。
画面全体に同じ圧を通して生み出す版画の特性も手伝って、人の手を通して作られた温かみを持ちながらも、すっきりとした心地のよい冷たさが門馬作品の魅力の一つです。
風景を見つめることを入り口に、ものや人との関係性について思いを巡らせてきた作家のセンスが、作品を取り巻く程よい距離感となり、現れているのかもしれません。

門馬 英美 / もんま ひでみ / MOMMA Hidemi
1984 東京都生まれ
2008 武蔵野美術大学卒業
2010 武蔵野美術大学大学院卒
現在:日本版画協会準会員